(1)かつて自分の子を宿した女性を死に追いやったことに激しい悔恨を覚えている 「私」は、生まれるはずであった子どもの唯一の形見である「小さな石」を掌で 暖めてから堀割に投げ込むことで、そこに深い鎮魂の思いを託しているのである。 (2)自身の過去を振り返る時、犯してきた様々の罪のみが思い返される「私」は、 それら幾つもの罪の証である「小さな石」を堀割に投げ入れることによって、 そうした過去の一切から目をそむけ、新たな心で生き直そうと決心しているのであ る。 (3)これまで数々の死に立ち会ってきた「私」にとり、「小さな石」とはそれら 死んでいった人々への自己の不実さを常に突き付けるものであったが、それを 堀割の底に沈めることで、「私」は自責の念を心の深部に抱き続けようと 決意しているのである。 (4)「私」にとって過去とは多くの人々との死別や生別を意味するものであり、 「小さな石」はそうした惨めな生のしるしに外ならなかったが、それを堀割に 投げ放つことのうちに、「私」は幸福な人生の新たな始まりを予感している のである。 (5)深い罪の意識の中で過去につきまとわれている「私」にとって、「小さな石」とは そのような過去を象徴するものであり、それを堀割に投げ捨てることに、「私」は そうした過去に対する拘泥から解き放たれることへの願いをこめているのである。みなさんからの投票をお待ちしています。
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・2024年10月15日 10時25分01秒 現在のアンケート集計結果です。
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